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「ヒアアフター」

公開直後にちょうど東日本大震災が発生したため、公開中止になっていたこの映画、DVD発売時の宣伝もほとんどなく、ひそかにリリースされていたことを最近知りました。実は、津波のシーンは冒頭のわずかな部分に過ぎないのですが、特典映像のインタビューからもわかるように津波をリアルに描写することに、かなり重視して作っているようなので、あの時期に公開中止の判断は妥当なものであったと思います。(津波のシーンは、当然のことながらCGですが、数年前のマレー半島沖の津波を研究して作ったとは言っているものの、本物の津波のニュース映像を目にした後では、波の近づいてくるスピードなどが早すぎてリアルではない感じでした。)ただ、津波のイメージは確かに映画の中で重要な意味を与えられてはいるものの、それは単に一登場人物の心理の中であって、映画そのものは津波のパニックを描いた映画ではないので、この津波のシーンのためだけに、この映画が公開中止になってしまったのは、残念な気がします。
「ミスティックリバー」とか「ミリオンダラーベイビー」のようにハリウッド的な予定調和とは真逆の観客が見ていてつらくなるような結末ではなく、ここ数作のイーストウッドの映画同じく、シナリオ自体はわかりやすく、普通に登場人物に共感できるような映画になっています。トム・スターンのカメラが相変わらずすばらしく、主人公が窓越しに通りを見下ろすシーンなど、あの感じが好きです。ストーリーは3つのストーリーがそれぞれパリ、ロンドン、サンフランシスコで進行し、撮影も現地で行われて、米国以外が舞台となる彼の映画はめずらしく、特に、3つのストーリーがつながるロンドンでのシーンがいい感じでした。
主役は前作と同じマット・デイモンで、実は、これまで、自分にとってはどうでもいい役者という位置づけでしたが、この2作で彼のファンになってしまったようなのは、やはりイーストウッドのマジックでしょうか。

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